第19章 この気持ちの答え
「日代君との勉強会、どうだったー?」
週明けに学校に行くと、案の定藍那に尋ねられた
「ん?ああ、日代君ね。彼、本当はものすごく賢い気がする。」
「そうなの?」
「うん。だって私がちょっと説明しただけで問題解けるようになってたもん。」
あーあ、心春に教えてもらう仲間ができたと思ったのに、と藍那が残念そうに言うと、人を頼らずに勉強できるようになりなよ、と突っ込む由梨花
「なんかね、授業中どうしても眠たくなって集中できないんだって」
「あ、それはわかる。お昼ご飯食べた後の授業とか特にヤバイよね。」
由梨花が頷く。彼女の場合は眠たくともがまんして授業中に起きているタイプだ。
「そういえば、何か心春が図書館に日代君とは別の男と行っていたって噂を聞いたんだけど、どういうこと?」
藍那の問に思わずギクリとする。
「そんな噂、どこで聞いたの…」
「この私に手に入れられない情報はありませーん」
人脈のある藍那は、さまざまな噂を知っている。まるで地獄耳でも持っているかのようだ
「図書館で偶然中学の時の先輩に会ったの。ただそれだけ」
「そっか」
思わず慌てて返した言葉に藍那は言及してこなかった。もしかすると彼女なりに配慮しているのかもしれない。
そうだ、この二人には言いたいことがあった。
「あのね、二人に報告したいことがあります」
私はそう言ってから息を吸う。
何だか友達に言うだけなのに緊張する。
「私、好きな人できた。」
私の言葉を聞いて、二人はニッコリ笑う。
「心春、おめでとう!」
「その報告、待ってました!」
由梨花と藍那がほぼ同時に言った
「で、その人は?」
藍那がキラキラした笑顔で尋ねてくる
「え、えっと…。日代、君…」
名前を言っただけなのに、ものすごく恥ずかしくなって、顔が熱い
「「良かったー!」」
「え?」
「だって、二人にくっついて欲しかったもん。」
藍那の言葉に、よけい顔が熱を持つように感じる
「く、くっつくって!まだ私も好きだって自覚しただけで、向こうもそうとは…!」
「でも意識をするのは両想いになる第一歩でしょ?」
由梨花の言葉に、両想いになるのはない気がする、と後ろ向きなことを思ったのはまだ秘密だ。