第17章 俺に教えて
日代君side
「くっそ!やっぱわかんねぇ…」
もうすぐテストだというのに、テスト範囲の内容が一っつも頭に入っていねぇ。
族に入っていたときに、そちらばかり優先して、勉強なんて全くしなかったから、そもそも基本の内容がわかっていない
もうちっとは勉強しておけよ。なんて昔の俺にキレてもきりがねぇ。やはりここは気合いで…
俺が再び机に向ったとき、祐希の笑う声がした
「やっぱり、勉強大変?」
俺が数十分前に、お前の力なしでも勉強をやってやる、と喧嘩腰になり、そのまま勉強を教えてと素直に乞えない俺を見透かしているようだ
祐希はそれなりの成績で、今までも何度も助けてもらった。
しかし、今回こそは自力で試験に合格したい。
族を出てだいぶん時間がたった。だからそろそろ、甘えてばかりではダメなのだ。
そう力強く語った相手に教えを乞うのは南なかなかハードルが高い
「そういやさー。」
「ん?」
とりあえず解き方だけでも理解しようと、参考書の解説を読みながら、祐希の言葉に反応する
くっそ、わかんねぇ。そんなふうに参考書を睨み付けているので勿論半分上の空だが
「宮原さん達が通ってる高校って、結構な進学校なんだよ」
「そうなのか。」
「そう、私立のところで、試験もむちゃくちゃ難しいらしいよ」
試験なんて公立で普通の偏差値の俺たちには関係のない話だな。
そんな難しいところで勉強なんて、絶対ついていけねぇ。
「それに宮原さんっていつも学校で十番以内に入ってるって由梨花から聞いた」
宮原の名前が出てきた辺りから話に結構集中し始めていたから、祐希の言いたいことがわかった気がする
つまりは、俺に教えを乞いたくないならば、宮原に聞け、と
宮原は俺みたいにこんな単純な計算で頭を抱えたりしないだろう
軽蔑されたり…はしないと思うが…
「もし仮に、テスト前に宮原に会いたいって言ったら、あいつは迷惑じゃねぇかな…」
思わず声に出てしまった発言に、祐希が少し笑った
「宮原さんなら、嫌がらないと思うな。だって由梨花達、テスト前にしょっちゅう勉強会開いてもらってるって言ってたし。
教えたら自分の勉強にもなるっていつもいってるらしいよ」
やっぱりできるやつは違うんだな。俺は素直に感心した。