第15章 彼のことを教えて
次の日、私たちがred crashのたまり場である、使われなくなった倉庫に向かった
外には日代君と同じように、赤く髪を染めた少年がいた
red crashは、リーダーが髪を赤く染めるきまりがあるので、彼が今のリーダーなのだろう
彼は私たちの姿を認めて、こちらに近づいてきた
日代君ほど大柄ではないが、迫力のある人だ
「日代さんのダチっすか?」
「はい、初めまして。宮原です」
私は迫力にのまれて思わず敬語で話してしまう
祐希君によると、彼はまだ高校1年生だそうだ
続いて藍那や由梨花が自己紹介をする
「俺は中島 奏多っす。好きなように呼んでください」
中島君はなかなか礼儀正しいようだ
暴走族のイメージとは何だか違う気がしたが、そもそもそれは偏見なのかもしれない
中島君に案内されて、私たちは倉庫の中に入った
「おーっ!マジで女子じゃんか!」
「ちわーっす!」
「兄貴が世話になってます」
などと、中にいた人達にいっせいに声をかけられて、少し慌てた
「そんなことないよ…。むしろこっちが日代君に世話になってます」
私が思わずそうかえすと、
「兄貴は世話やきだからなぁ!!」
と嬉しそうな声がした。
やはり彼はどこでも世話をやいているようだ
「んで、今日は3人とも、日代さんの武勇伝聞きに来たんだってよ」
中島君がred crashのメンバーにそう告げる
「そりゃあ、何から話したらいいのかわかんねぇほどあるなぁ!」
メンバーの一人が本当に嬉しそうな顔をした
「立ちっぱなしもなんなんで、座ってください」
と、中島君が椅子を指差した。ありがたく座らせてもらう
これから彼のどんな姿が語られるのだろう。私は期待に胸を膨らませながら、彼らが話始めるのを待った