第14章 この気持ちの正体
「で?日代君とのデートはどうだったの?」
週があけて月曜日。藍那に開口一番、そんなことを言われる
「だから、何回も行ったように私と日代君は…」
「友達なんでしょ。」
藍那がわかってますー、と少しふてくされたように口を膨らませる
「まぁまぁ。日代君と遊ぶの楽しかった?」
由梨花が藍那をなだめながら私のほうを見た
「楽しかったけど、いろいろやらかした気がする」
私は日代君の目の前で、涙で崩れた化粧姿を見せてしまった話を二人にした。
「なんでこう日代君の前では醜態さらしまくりなんだろう」
「それはそういうさだめってことじゃないの?」
ともはや諦めろとでも言うかのような藍那の返答。
「まぁ、いいんじゃないの?友達なんだし」
由梨花がそう言ってから、でも恋人だから背伸びしてもいいわけでもないから、どんな関係であれ自然体を受け入れてくれる人には感謝しなきゃねと付け加える
はい、日代君に感謝します…
「でもね、ちょっと変な気もするの。日代君ってね、いろいろ何か抱えてそうな感じがするんだけど、それがどうも気になるんだよね。何かもっと日代君のこと知りたいなって。なんだろこれ」
「…。とりあえず少女マンガを読めばわかるんじゃない?」
藍那にそうつっこまれる
「なんで?友達の気持ちを知りたいって思うなら少年マンガじゃないの?それに日代君男らしいから、男の友情について学ぶのも必要だと思う」
「待って待って。本題からずれてるよ。つまり、心春はもっと日代君のことを知りたいって思ってるんだよね?」
「うん」
日代君は、よく喋ってくれるけど、話題が暗くならないようにか、どうも日代君の過去をやたらに避けている気がする
小学校のことも、祐希君だけが友達だったとか訳ありなことを言っているし、そもそもなぜ暴走族をやめたのか理由を教えてもらっていない
「それって友達として日代君を知りたいの?」
「うーん、なんだろう。何だかものすごく身勝手なんだけど、そうじゃない気がする」
どうしてなんだろう。この気持ちの正体を知りたい