第42章 ほんの些細な日常も
「お待たせー。」
校門の壁にもたれかかって待っていた日代君の顔を除き込む。
「なんだそれ。待ってたのはお前の方じゃねぇか。」
と言いながら日代君は笑う。
確かに、私は日代君が迎えに来てくれるのを待っていたのだから、その方が正しいのかもしれない。
「えと、じゃあ今日もありがとう?」
「ん。」
それが正解だとでも言うように日代君は短く返事をする。
「ではでは…。私達はここで…。」
と藍那と由梨花はにやにやしながら帰っていく。お幸せにー。と言っているのが手に取るようにわかる。二人は私のことをからかったりするけれど、こうして私と一緒に日代君を待ってくれたりして優しい。
二人にもちゃんとありがとうって言わなければ。
さっきの日代君のやり取りでそう考えさせられる。
「じゃあ行くか。」
日代君が歩き出したので、私も慌ててついていく。
学校から歩いて5分もかからない所に、コインパーキングがある。停めてから30分は無料なので、日代君は私を迎えに来るときはそこにバイクを停めている。
私の学校はバイク通学は禁止だから、目立つし、他校の生徒でも注意されかねない。
だから日代君はバイクをどうするべきか最初は悩んで、迷惑だけど近くのコンビニに停めて来ていた。
違法駐車をしていろいろ問題が起こるからだ。
それにしても日代君って私の為に色んなことをしてくれるよね。
この一緒に帰ることが習慣になったのも、私が一緒に帰ってみたいね。と言い出したことから始まったし、妹を優先思想で不安だ、と言っていた割には何かと構ってくれる。
好きだなぁ。
ヘルメットを被る彼の後ろ姿を見ながらしみじみとそう思った。