第2章 それは騙されたことから始まる
「心春、土曜日カラオケ行こ!」
私の座っている席の机に両手をつく藍那
少し威力が強かったようで机がほんのちょっと揺れた
何でカラオケ誘ってるだけなのにこんなに力入ってんだ…
私は呆れて藍那を見る
「別にいーけど。何でこんなに気合い入ってんの?」
「い、いやっ。べべ別に気合いなんて入ってないよ!き、気のせいじゃないかな?」
なーんかあやしいけど、まぁいいか
「いいよ。土曜日なら空いてるし。」
「ほんと‼今確かに大丈夫って言ったね!」
目をらんらんと光らせる藍那。
私は藍那の横に立っている由梨花を見上げた
「この子いったいどうしたの?」
「さ、さあ…」
由梨花は曖昧に笑う
なんなだこの人たちは
「まあ、とにかく‼土曜日はおしゃれしてきて‼」
「な、何で⁉」
ダメだ、藍那の提案が全部突拍子過ぎてわけわからん。
藍那のことだから、悪いことをするわけでは無いんだけど…。
「その感覚がダメ‼いつでも恋できる体制になっとかないと‼あんた最近なんて私達と遊ぶ時も制服かジャージばっかだよ⁉」
何かおしゃれするきになれないんだな…
恋愛しようとかも思えないし。
恋愛小説読んできゃーって叫んだり、友達の縁結びを手伝うのはすごく好きなんだけど…
「あのねぇ、この男子達がほとんどいない環境にいて、どう恋愛しようと思えるの…」
藍那が図星のようで黙りこんだ。
この学校は5年ほど前に女子校から共学へと変わったけれど、まだまだ女子校の名残がたくさんある
たとえば、クラスに男子が十人前後しかいないとか…
男子もだいたい彼女ができてるし。
藍那は他校の男子と合コンで知り合って付き合ったりする強者だから、いろいろ恋愛してるけど…
あとは由梨花のように何年も付き合ってたりとか
そうじゃない私は何だか恋愛に対して全くやる気が出なくなっていた