第41章 困ってしまうぐらい好きだから
「俺、もう過去を振り返って嘆くようなことはしたくない。だから…。」
日代君は私のもう片方の手もつかんで両手で包み込む。
「お前を守らせて欲しい。そんでお前と一緒にいろんなこと体験して、いろんなことで笑って、悲しんで。お前とたくさんのことを共有したい。」
「…っ。」
わざとなのか違うのか。そんなのわかんないけど、そんなことを言われたらドキドキする。
私はおさまりそうにない胸の高鳴りをなだめようとした。
「あと…。俺が無茶してるときとか、お前に構ってやれなくてお前が寂しい思いをしているときは、ちゃんと叱って欲しい。俺は不器用だけどよ、家族のこともお前のことも大事にしたい。だから我慢しないでくれ。」
もう家族優先なんて言わねぇ。お前も家族もどっちも大事にしたいんだよ
そう言った日代君の言葉に嬉しくて嬉しくてもう、これ以上の幸せがあるのだろうかと思う。
「うん、我慢しない。それにちゃんと無理していたら注意するし、私にも…日代君を守らせてください。確かに力では日代君に敵わないけど、日代君の心を支えられる心の力持ちになりたい。だから、日代君も辛いことは辛いって弱音を吐いたりとかして欲しい。」
日代君は自分で悩みを抱えちゃう癖があるから。私は日代君と毎日幸せだねって笑い合えるように力になりたい。
だって困ってしまうぐらい日代君のことが好きだから。
「じゃあ約束な。」
日代君が小指を立てる。私は自分の小指を絡めて、指切りをした。