第41章 困ってしまうぐらい好きだから
「俺、お前と少しずつ関わっていくにつれて、あいつ今どうしてるんだろうとかずっと考えるようになっていて、これがどういう意味なのかずっと考えていた」
並んで歩きながら彼の話を私は聞く。いつもと同じだけど違う私達の関係を、繋いでいる手が証明していた。
「俺はお前が告白してきたとき、本当に嬉しかったが、反面悲しい気持ちにもなった。」
「何で?」
私はあの日、日代君がなぜあんなにも悲しい顔をしていたのかを知りたかった。
「俺は…。前にも話したように何よりも妹を優先させちまう。それで俺はお前が傷つくと思ってお前をふると決めた。でもふってもお前は傷つく俺はどうすればお前を傷つけずにすむだろうとずっと悩んでいたからな…。」
「私は日代君が妹さんを優先しも理由を言ってくれれば大丈夫だよ?」
「それじゃあお前が我慢ばっかりして大変だろう。それは俺はお前ばっかり負担をかける気がして嫌だった。」
「…そっか。」
確かに理由を知っていても、日代君がデートの約束をしていたのに妹さんのためにドタキャンされたらショックだろうな。
日代君はそういうのも見越して私をふったんだよね。
「でも、そういう理由でずっとお前の告白と向き合わないでいたら失礼だって林さんに言われた。」
日代君は繋いでいない左手で自分の髪をガシガシと触ってから大きく息をついた。
「それで気づいたんだけどよ、俺これから先お前が誰かと出会って、そんで付き合って結婚したりして俺がお前に心からおめでとうなんて言えるのかなって考えて、やっぱ無理なんだよな。」
結婚ってすごく先のようにも思えるけど、それぐらい長い間日代君は私と友達でいてくれる気だったんだと思ったら少し嬉しかった。
今は仲が良くても将来進学とかで疎遠になってしまう友達なんていくらでもいるだろう。でもそんなことを全く考えずに、今もこれから先も絶対に仲良くすると思っている日代君の優しさが好きだ。
「そんでさ、俺はお前をふったこと一生後悔すると思った。そう思ったらお前が誰かに獲られちまわないうちに言わねぇとって思ってそれで…。」
ふいっと顔を下に向けて地面を見つめるその顔は少し赤くて、いつもと違って可愛かった。