第38章 誰のせいか
日代君side
宮原が言っていることは違う
何だかいたたまれなくなって、思わず宮原からケータイを奪い取った。
「え⁉ちょ、日代君!?」
宮原の戸惑う声を無視して俺はケータイを耳に当てた。
「すみません、俺のせいです。」
「ひ、日代君?えーっと、それはどういうこと?」
いきなり声が変わったので、宮原のお母さんもそうとうびっくりしていた。
俺はとりあえず宮原は俺を誘い出すために人質にされたこと、気絶させれれて運ばれたこと、前から狙われているのは二人とも知っていたことを説明した。
「…。それは日代君のせいじゃないよね?それは向坂と川島っていう人が原因なんだから、あなたが謝る必要は無いわよ。確かに、危ない目に逢ったのは親としては心配だわ。でも…。」
宮原のお母さんは何か考え込むように黙りこむ。何を言われるのだろう。俺はひやひやしてしまう。
「だからってあなた達が仲良くするのを止めなさいなんて言えないわよ。確かに仲良くすれば巻き込まれやすくなるんだろうけど、日代君みたいな優しい人と仲良くするな、なんて言えない。それに私も日代君のことほんの少ししか会ったことないけど、大好きよ。だから、私としては二人は仲良くして欲しいわね。」
大好き、と言われたときに、思わず死んでしまった母と重ねてしまったが、その後の言葉を聞いて、俺はどうすればいいのだろうと我に帰る。
「それで俺はどうすれば…。」