第34章 まさかこんな時に
もうすぐ夏休みも終わる8月の下旬。宿題も終わり、することが無くなって私はどうしようもなく暇だった。
藍那は今日は神崎くんとプールに行くらしい。ラブラブなことで羨ましい。
由梨花は家族と旅行中。
そんなこんなで二人は夏休みを満喫していて、私は暇を持て余してぐうたらしている。この差はなんだろう。
ボーっとしていると、下の階からお母さんに声をかけられた。
「小春ー!暇ならちょっと醤油買ってきてくれないー?」
これが夏休みではなかったら重たいとかめんどくさいとか言うと思うけれど、本当になにもすることが無かったので私はいいよと即答した。
向坂のことがちょっと頭を掠めたけれど、醤油を買いに行くのはスーパーだし、若者が集まるような所はないはずなので大丈夫だろう。
私はサンダルを履いて、手には財布だけの状態で外に出る。
結局藍那達には女子力上げろって言われて頑張るって答えるけれど、やっぱり誰も見ていないと思ったら気が抜けてしまう。
夏休みは女子力とかからは程遠い、どっちかといえば40過ぎたおじさんみたいな生活してたなぁ。
サンダルのヒールがカツカツと地面に当たる音を聞きながら私は夏休みをどうやって過ごしたか思い返す。
でも夏休みにはいろんなことがあったな。
みんなで夏祭り行ったりとか、日代君に告白したし。
日代君と遊びにも行けた。振られはしたけど、嫌われてはいないし。新学期が始まってお互い忙しくなるけど、頑張ってアタックしていきたいな。
私は日代君に手作りのお菓子でも作ってみようか、などと考えながらスーパーに入った。
その姿を誰かに見られていることに気づかないまま。