第33章 告白はしたけれど
「なぁ、お前俺と話すの嫌じゃねぇか。」
いつも通りだと安心していた矢先にそんな質問をされてしまい、動揺して思わず座っていたベンチから勢いよく立ち上がってしまうところだった。
「い、嫌じゃないよ。こうやって話すの楽しいし…。」
「あ、悪い。俺とは関わるなとかそんなんじゃねぇ。俺は逆のことを言いたかったんだよ。」
逆、とは…。
「俺はお前と仲良くしたい。だから避けないで欲しい…。それにな。…。」
長い沈黙のあと、彼は言おうか悩むような顔をしたあと、
「あと他に気になるやつができたら、俺のことは忘れて次に進んで欲しい。」
日代君のお母さんが亡くなってから、日代君は家事を全て請け負っている。
それに日代君に恨みを持っている人はたくさんいる。その人達を片付けるのに、日代君は様々なところへ出向くのも珍しく無いらしい。
日代君は恋人と過ごす時間は無いのだ。
「それはわかってるよ。でもまだ好きでいても良いかな。」
日代君は目を瞬かせる。
「私、まだ諦めてないんだよ。日代君がしなきゃいけないことがあるんだったらいくらでも待つ。それに…。日代君の背負っているもの全部が無くなった時、日代君に好きって言って貰えるように、私、これからはもっとアタック頑張るからね。」
「えっ⁉」
「それに日代君が背負っているものの少しでもいいから、私がなにか役に立てるといいな。だからね…。私の気がすむまで好きでいさせて欲しい。」
私はこの先いろんな人に出会うだろう。でも、今はまだそんな先のことわからない。わからないことに夢を抱いて、今とても大事なものを捨てていくなんてダメだと思う。
私は今を大事にして、そこに繋がる先を大事にしたいんだ。