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私達は偽者シンデレラ

第32章 久しぶり


日代君と待合せ場所にした所は、ショッピングセンターの前だ。


今日は自転車に乗らずに歩いて行こう。


そんなに距離は無いし、自転車は長い間乗っていないから、もしかすると転ぶ可能性も否めない。


気温は確かにだいぶん高いし、ショッピングセンターに行くまで体力を使うだろうけど、早めに出たしのんびり行こう。


私は道行く人たちを眺めながら歩いていると、不意に後ろから肩を叩かれた。


学校の子かな。


私が振り向くと声をかけてきたのは






「よう、久しぶり。」






あの向坂だった。


相変わらずの金髪で、チャラチャラしたかっこうだ。



私は慌てて何歩か後退り、向坂に警戒する。



「なんだよ、久しぶりに会ったから声かけてやったのによお、その態度は。」


と私の態度を見て向坂は不機嫌になった。



「あなたとは仲良くした覚えも無いし、さんざんな目に会ったから何ですけど。」



誘拐されたことを簡単に忘れる訳がない。


「そうだよなぁ。ところでお前、今でもあいつと仲良くしてんの。」



妙に威圧の有る笑みを浮かべながら向坂は私に少し近付く。



私はそれに合わせて後ずさる。



なんかもう、嫌な予感しかしない。



「あなたには関係ないでしょう?」



「いいや、関係有るね。」



気がつくと向坂の周りにはじょじょにがらの悪い人たちが集まり始めていた。



逃げなきゃ。私はくるりと踵を返し、日代君と待合せ場所にしているショッピングセンターへと走り始める。



とりあえず彼に会えば助かる。



そう思って通行人の間をジグザグに通り抜けながら全力疾走した。



「おい、待てよお前!」


向坂達が追いかけてくる足音が後ろから聞こえた。



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