第31章 理由のないお誘い
日代君から久しぶりに連絡を貰ってから三日後。
今日は日代君と会う日だ。
会ったら何て言われるんだろう。再スタート、なんて言いながらもどこか自分は臆病になっている気がする。
私は服を着替えて控えめにメイクをする。
由梨花が祐希君からの情報で教えてくれたのだが、日代君はナチュラルメイクが好みのようだ。
日代君の好みの人になる、とかそういう理想像を目指しているわけでもないけれど、印象はよく持たれたいので、派手すぎないか注意深くチェックする。
靴はどうしようかな。
日代君と出会ってから、靴は余計に重要なものに思えるようになった。
私と彼が仲良くなれたきっかけ。
私が好きだと思った人に出会えた大切なもの。
でもあれは春物なので今は履けない。
歩きやすいように踵の低めのサンダルにしようかな。
この前転んで、日代君に大胆な姿勢で告白した原因は浴衣姿で階段だったからだが、再びそのような状況に陥ったら、次こそ心臓がもたない気がする。
なんとしても歩きにくいものはNGだ。
そうささいな理由で踵の低いサンダルを選んだのに、後で選んでおいて良かったと心のそこから思うことになろうとは私はまだきづいていなかった。