第31章 理由のないお誘い
夏祭りから一週間経った。
私は今でも何度も日代君に告白した時のことを思い出す。
花火の音も暑い空気もきらめく景色も。
日代君の表情や体温まで。何一つ色あせることなく鮮明に思い返してしまう。
日代君に告白して、スッキリした気がする。
日代君には付き合えないと言われてしまったけど、これからどうしようかな。と前向きに考えることができていて嬉しく感じた。
~ ~ ~♪
ボーっと夏祭りのことを考えていたときに、ケータイが着信音を鳴らしたので少しびっくりした。
あわててロック画面を解除すると、日代君からメールが来ていた。
彼の方はさすがに気まずかったのか、前までは頻繁にしていた連絡も一週間ぶりだ。
内容を見ると時間がある時に会えないか、という文面だった。
いいよ、と返信し、ベッドに仰向けに寝転がる。
初めてだよね…。
会うことに理由がつけられてなかったの。
もしかして告白したことが理由かな、なんて少し嬉しくなる。
せめてふられたのなら、前よりは気軽に喋られる間柄になることを目指そう。
まずはそこから再スタートだ。