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私達は偽者シンデレラ

第27章 打ち上げ花火


「この様子だと間に合うな…。しんどくねぇか?」



「うん、平気。足があげにくいけどね。」



二段ほど先を歩く日代君が振り返る。



もう半分以上は上っていて、石段はもう数える程しかない



「でもこんなに動いたの久々かな。」


中学の頃より息切れが酷くなった気がする。



「よし、到着っと…。宮原、あと少しだぞ」



そう、私もあと2段上がれば到着だ。


そして足をあげようとしたとき



ヒュルルルル……ドーン



と打ち上げ花火独特の音がして、周りが明るくなる。



振り返ると、花火が散りかけるところだった。



「うわ、綺麗…」


何度見ても、花火は見ていて感動する。



「危ねぇぞ。見るよりも先に上がってこい。」



日代君に言われて、自分がまだ石段を登りきっておらず、途中で振り返っていることを思い出す。



「うん。」


そうして足を次の段にかけたとき。


再び聞こえた打ち上げ花火の音に驚いた。



「うわっ」


足をかける位置を間違い、片足がズルッと滑ってバランスを失う。



「宮原!」


日代君が私の腕を引っ張る。


私はそのまま、日代君へと飛び込む状態になった。



「だ、大丈夫、か?」


そのままの勢いで、倒れこんだ私達は抱き合う状態になっている。


「大丈夫。ありがと、う…」



顔をあげて、返事をすると、日代君の顔が予想外に近くて驚いた



心拍数が上がる。それと共に体が熱をもつ。彼と触れあう場所が熱い。


そしてなぜか、やたらと速い私たちの鼓動の音が打ち上げ花火の音より大きく聞こえる。



「日代君…。好きです。」



伝えるなら今しかないと思った。



俯いた顔を再びあげると、彼の驚いた顔があった。



私の後ろで打ち上げ花火が上がる。



彼の目に、花火のきらめきがうつっていた。



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