第24章 勇気を出して
ご飯を食べ終わって、あとどれぐらいなら家に居れるのかとみんなが聞くと、日代君は一時間半は大丈夫です。と答えていた。
すると、明人が、姉さんと、日代さんは友達同士なぜ、姉さんの部屋に入らせて貰っていないのか、おかしい。と主張を始めた。
きっと、明人なりの気づかいなんだろうけど、少し不自然な気もする。
日代君はそんな女子の部屋なんて行きなり押し入っても迷惑だろう、とか、宮原は嫌じゃねぇのか、とか言っていたが、お母さんが確かにそれもそうねぇといきなり納得したので、何故か今私と日代君は私の部屋で二人きりだ。
緊張するな…。
部屋のドアを閉めて、二人で向かい合って座った。
別に恋人って関係ではなくても、好きな人とこういう状況って期待はしていないけど緊張してしまう。
「今日はありがとな。すげぇ楽しかった。」
「それは良かった。うちの家族、個性強いから、驚く人も多くて、どうなんだろうってちょっとハラハラしてたから。」
「優しい親父さんに、おっとりしたおふくろさんに、姉思いの弟、いい家族だよな。」
「いいとは思うけど、たまにテンション上がるとあの人たち変だよ。」
日代君はその言葉を聞いて笑う。
年頃の男の子の腹筋見て、シックスパック!なんて言う母親は世界に一人だけだと思う。
「あのさ。今まで俺達、お礼とかお詫びとかなんだかんだ理由つけて会っていた気がするけどよ、友達ならそういう理由つけなくても会ってもいいか?」
日代君が笑うのをやめてから、急に神妙な面持ちでそんなことを尋ねてくる。
「会いたいってことに理由づけなんていらないよ。感情の理由を見つけることなんて、自分の気持ちを完璧に言葉にできないことと同じくらい難しいと思う」
そう言いながら私の鼓動が少しずつ速まっていることを感じた。