君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第10章 子津の場合
日も落ちて暗くなった土手。駅に向かって自転車をこぐ。
「今日はありがとう。いろんな子津が知れて嬉しかった!」
「あんまり知られたく無い事も知られちゃった気がするんすけど・・・どういたしましてっす。」
腰に回された手を撫でると、××さんはぎゅっと力を込めた。
ゆるい下り坂に入ってペダルをこぐのをやめる。自転車は少しずつスピードを上げていった。
「・・・にしても告白と言いさっきのことと言い、××さんは本当に大胆っすね。」
「なんでよー。おしとやかなお嬢様じゃない。」
「味見する?なんて言っといてよく言うっすよ。」
さっきのことを思い出して、顔が熱を帯びるのが分かった。
××さんは僕の背中に頭を預けると頬ずりまでしてきた。
「あたしもムッツリってことですよ。」
坂が終わると自転車のスピードが落ち、僕はまたペダルをこぎ始めた。
次はどこに行こうか。××さんの思い出の地っすかね?
あぁ、次からは××さんに恥ずかしい思いなんてさせないっすよ。
しっかり僕がリードして、 完食どころかおかわりまで美味しくいただくとするっすね。