君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第10章 子津の場合
「着いたっすよ。」
やって来たのは僕の家の近所の河川敷。
犬の散歩をするおじいさんや、学校帰りの中学生がちらほら見える。
「こんなとこで本当によかったっすか?」
僕が小さい頃からよく行ってるところに行きたいだなんて。
「うん。子津のこともっと知りたいんだもん。」
言われて思わず顔がにやける。
まだまだ××さんが僕の彼女になったなんて信じられないけど、少しずつお互いのことを知って実感したいっすね。
××さんは遠くに視線をやった。
「夕焼けが綺麗だね。」
河川敷の向こうの空は真っ赤で、川まで真っ赤に染まっていた。
ここに××さんを連れて来たのは、これを見せたかったというのも1つあった。
「そうっすね。」
遠くを眺める××さんの横顔はまさしく綺麗で。
一緒に見る夕焼けも綺麗っすけど、僕には××さんの横顔ばかりが目に焼き付いた。