君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第10章 子津の場合
「あっ、そういえば誕生日おめでとうっす。」
「え?あぁ、ありがとう。」
お互いぺこりと頭を下げて何となく照れる。
「で、何っすか?」
「あー、えっとねー・・・。」
××さんはまた廊下の方をちらちら見ていた。
そんなに彼氏さんと会いたいんっすか?もう胸が痛いんでやめてくれないっすかね?
落ち込んだ気持ちでいると××さんとまた目が合った。
僕はあなたに失恋したんすよ?早くしてくださいっす。
「あのね・・・。」
少し身を乗り出してきた××さんと距離が縮まる。次の言葉が出るまでにしばし時間を要した。
「今日1日あたしと一緒に過ごして欲しいです。」
「・・・え?」
それって・・・それって?
××さんは小声で話を続ける。
「昨日言ってた好きな人なんだけど、子津のことなんです。」
周りの人は今まさに告白シーンに立ち会っていることに気付いていなかった。