君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第8章 司馬の場合
階段を降りて、ガラス戸を押して中に入る。
ライブハウスはそこそこの賑わいで、見知った顔もちらほらいた。
「おぉ、久しぶりじゃん。」
「あっれー?司馬が女の子連れてる。」
「葵君、彼女出来たのー!?」
派手な装いをした、俺のここでの友達が寄って来る。
受付の片手間で適当に挨拶を返しながら、××さんの様子も伺い見る。
××さんは早速連中の好奇の目に晒されていた。
「へぇー。可愛いじゃん。」
「名前はなんて言うの?」
「あ、××○○って言います!」
おぉ。××さん、しっかり対応出来てる。さすが。
「司馬の彼女?」
「まぁ、その・・・はい。」
「やだー照れてる!かっわいいー!」
ばしばしと肩を叩かれたり、ぎゅっとハグされたり。
少々手荒な歓迎に、さすがの××さんも笑顔とはいえしどろもどろ。
「葵君は良い奴だから!」
「○○ちゃんもこれから常連になってねー!」
連中は満足気な顔をして、嵐のように会場に移動して行った。