第10章 エピローグ
……いつの間にか、空には宵闇が訪れていた。
二人は名残惜しそうに、ゆっくりと体を離す。
「……」
「……」
ヤバイ……。
気分が落ち着いてきたら、急に恥ずかしく……。
二人はなんとなく視線を外しながら、お互い顔を赤くしている。
「……あ、ブルマさんは?」
その気まずい沈黙を破るように、ユメが少し大きな声で訊く。
「え? あぁ、母さんもユメがいなくなって寂しがってたよ。今会議中だから、終わったら飛んでくるよ。きっと」
「会議中? ……そういえば、なんでトランクス、スーツなの?」
「え? 似合わない、かな?」
慌てたように自分の姿を見下ろすトランクス。
「ううん! すごいカッコイイ……んだけど」
言いながら、また赤くなるユメ。
トランクスも照れてしまったようだ。
そのまま恥ずかしそうに言う。
「実は、今このカプセルコーポの副社長になってるんだ」
「え!?」
驚くユメ。
「今年の春に社員を採ったんだ。もちろん母さんが社長。……まぁ、副社長って言っても、母さんの助手みたいなものなんだけど」
「す……すごい! だって、次期社長でしょ!?」
ユメは興奮しながら訊く。
「いや……まぁ、母さんはそのつもりみたいだけど……まだ実感湧かないよ」
「トランクスなら大丈夫だよ! 絶対!!」
すると、トランクスは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。……これもユメのおかげなんだよ」
「え?」
「社員は皆オレを慕ってくれてる」
「……そっか。良かった」
ユメはトランクスの幸せそうな顔が見られて、とても幸せだった。
「あれ? でも会議中って、トランクスはいいの? ここにいて」
「あー……、実はユメの気に気が付いて、飛び出して来ちゃったんだ」
「え!?」
「でも、母さんがいるから平気だよ」
と、続けて「あ!」と声を出すトランクス。
「そうだ。ユメに渡すものがあるんだ」
そしてそのままトランクスはドアの方へ早足で駆けていく。
しかし、ドアを開けようとしたところでパっとこちらを振り向き、こちらに戻ってきた。
「?」