第8章 四日目の夜
玄関でそれを見送ったあと、ブルマがトランクスの頭をポンっと叩いた。
「母さん?」
「お疲れ様」
その一言には、ものすごく、長い時間が込められている気がした……。
「はい」
笑顔で応えるトランクス。
そして、次にブルマはユメの方を見た。
「ユメ、ありがとう」
「え? あ、いえっ」
今日手伝ったことかな、とユメは両手を振る。
それをにっこりと見つめて、ブルマはその場で大きく伸びをした。
「さーて! 私は先にお風呂入らせてもらっちゃうわね。ふたりはお茶でも飲んで待ってて~」
そう言って、ブルマはバスルームの方へ消えていった。
残ったふたりはゆっくりと顔を見合わせる。
「そうだね。紅茶でも飲もうか」
「うん」
そしてふたりはリビングに向かった。
「なんか、今日は……すごい一日だったな」
トランクスがふたつのティーカップをテーブルに置きながら呟くように言った。
「ありがとう。……うん。すごい一日だったね」
ユメは笑顔で言う。
「ティム君の修行、どうするの?」
「ん? あぁ……オレ誰かに教えたことなんてないからなぁ……どうだろう。まだわからないよ。それに、ティム君まだ小さいしね」
椅子に腰掛けながら答えるトランクス。
「そっか。でもティム君、すごい尊敬っぷりだよね!」
「ハハ。ちょっと気恥ずかしいんだよな。“トランクスさん”なんて。ユメみたいに“兄ちゃん”でいいのに」
「リィナちゃんにも好かれてるし、トランクス人気者だね!」
するとトランクスはまんざらでもないように笑った。
「でも……本当に良かったね。トランクス」
ユメは満面の笑みで言った。
「……うん」
トランクスが静かに微笑み頷く。そして、
「ユメの……おかげだよ」
そう言って優しくユメを見つめた。