第7章 四日目
「そのほとんどが、これまでに貴方に助けてもらったことのある者や、その身内でした。でも貴方に感謝する勇気が今まで出なかったようです。そのときに……」
と、お父さんが急にユメの方に視線を向けた。
ドキリとするユメ。
「トランクスのそばにいる貴女の姿を見て、皆、勇気が出たと……」
……私?
私が、皆に勇気を……?
信じられず、ユメはただ戸惑うことしか出来ない。
「そういうわけで、混乱を避けるため、こうして私たちが代表してお邪魔することになったわけなのですが……」
だがそこで少し間を開けて、お父さんは悲しそうな表情をした。
「まだ貴方のことを誤解する者は多くいます。それは……きっと、あの人造人間たちによって大事な人を失ったり、恐ろしい思いをして……それを忘れられない者たちです」
そして、後を替わるようにティム君のお母さんが口を開く。
「でも少なくとも私たちは心からトランクスさんに感謝しています。本当に、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
皆が感謝の言葉を口にし、もう一度トランクスに頭を下げていく。
「トランクス」
何も言わずただ呆然とそれを見ているトランクスに、ブルマが優しく声を掛けた。
「あ……」
気が付いたように口を開けるトランクス。
「……オレが、……オレの方こそ、……あ、ありがとうございます」
トランクスが顔を真っ赤にして頭を下げる。
「わざわざ教えに来てくださって、ありがとうございます。本当に、ありがとうございます……!」
何度も、何度もお礼の言葉を繰り返すトランクス。……と、
「あー! おねえちゃん、泣いてる~!!」
リィナちゃんがユメを指差し大声で言った。
その時初めて、ユメは自分が涙を流していることに気が付いた。
「あ、いえ、その……ごめ……なさい!」
ユメは恥ずかしくて、顔を隠しながら涙を拭う。
……どうしよう……止まらないよ……!