好きになったっていいじゃない【アイナナ】R18*完結*
第10章 唇で煽ってよ/天side
参ったな。
楽にボクの気持ちを見破られるとは___
正直、冷静でいられる自信はない。
『だって』という言葉は好きじゃない。
けど、今回ばかりは使ってしまいたくなる。
だって、が可愛いから。
今までに何人かの女の子を好きになった事もあるし、もちろん抱いた事もある。
でも、いつも心の奥底で冷めたボクが気持ちにブレーキをかけていたんだ。
TRIGGERの九条天に彼女はいらない
ファンの子すべてが彼女だから。
だから、ボクは本気で好きになったことはなかった。
でもに対してはブレーキをかける事が出来ない。むしろ、逆。
気持ちを抑えようとすればするほど、気持ちが勝手に育っていってしまう。
彼女の一生懸命さに心が惹かれる
彼女の歌声に、パフォーマンスに魅力されてしまう。
ボクには無いものを彼女は持っている。
それは純粋に、ひたむきに歌が好きでファンの前でパフォーマンスをするのが好きなのが伝わってくるから。
ボクだってファンの子の前でパフォーマンスをするのは好きだ。
でも、純粋じゃない。
TRIGGERの九条天としての完全なるパフォーマンスをする事に意味があると思っているからだ。
九条天としてのパフォーマンスをする事は出来ない。
その出来ない事を彼女はやっている。
尊敬と憧れ、そして異性としての魅力を兼ね備えて持っている彼女に好意を抱くのは当然の事。
「この仕事が終わったら……」
おそらく当分は彼女には会えない。
だからボクは決断する。
PV撮影が終わったら___
彼女に気持ちを伝えよう。
ねぇ、。
ボクの気持ちを受け入れてくれる?