好きになったっていいじゃない【アイナナ】R18*完結*
第4章 重なる声
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
レコーディングスタッフに挨拶をしているとブースの中にいる天と目が合っちゃった。
うっ……
相変わらず可愛い。
やばい。
顔がにやけてしまうわ。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
「おはよう。体調は万全?」
「はい!任せて下さい!!」
元気よく返事をしたものの……実はかなり緊張しているんだよな。
確かに天とのデュオは楽しみだし嬉しい。
テンションだって上がる。
でも、それ以上に失敗はしたくない。
私だってデビューしたからにはプロの歌手だもの。
きっちりと仕事はするつもり。
「じゃあ始めようか?」
「はい!よろしくお願いします」
深呼吸をしてヘッドフォンを装着する。
天に認めてもらえるように歌わないと。
音を外さないように……
天にがっかりされないように
心臓がバクバクする
手が震えてくる。
ヘッドフォンからはイントロが流れてきて天が歌いだす。
生で聴く歌声は上手い……
私も頑張らないと……
次は私のパートだ
声が震える
「指を絡ませて~」
あ……
声がひっくり返りそう……
「音楽止めて下さい」
「っ……!」
「最初からお願いします」
天……怒ってる?
「今日は何回リテイクする気だ?」
「楽……来てたの?」
「ああ……時間が空いたからな」
「……緊張してるみたい」
「天にはそんな理由は通じないぜ」
「わかってるよ
(……頑張って)」
「今日中にレコーディングが終わればいい方だろうな」