第3章 Trick or Treat(降谷零)
「お菓子持ってないですよ……降谷さんじゃあるまいし」
「馬鹿にしてるのか」
「馬鹿になんてしてません!女子力高くて好きって言ってるんです」
「そうか、俺も好きだ」
「……え」
今サラッと告白を返された……!?!?待って待ってサラッとしすぎてて何か逆に覚えてない待って待って
頭の中がパンクしてる……!!押すのは良いけど押された事のない女はこうなるのかと実感中!!
「どうした。お前が求めている答えじゃないのか?それとも言葉だけじゃ足りないと」
私の真横に降谷さんの腕が置かれる。そして顔が近付いてくる……こ、これって……
「あ、の……降谷さ……「なんてな」
唇が触れる寸前でストンと元の位置へ戻る彼。
何が起きたのか分からずキョトンとしていると、にやにやした顔でこちらを見ている。
「お菓子くれないならイタズラしないとな?」
くっ……やられた……
「……降谷さんのえっち。好きだけど。」
「ハイハイ、また明日も俺の部下として色々動き回るんだ。今日はもう寝て備えるんだな」
そう言って助手席から出されてしまった。
……そう、私の上司は私も含めた皆の憧れ。私ごときになびくはずもないんだ……
それでもなんだか悔しくて、最後に問いかけてみる。
「……降谷さん」
「ん?」
「さっきの……他の女の子でもやってたんですか」
我ながら中々女々しい事を言ってしまっている。
すると、少し考え込んだ降谷さんは、またのど飴を投げて渡してきた。
「お前らしくないなそんな事言うなんて。やっぱり体調悪化してるだろ。今日は本当に早く寝ろ」
んーー、私の求めてる答えじゃない。
でもその返答って事は……言うつもりもないのだろう。
「……そうですね、もう寝ます。降谷さんも気を付けて帰ってくださいね。」
そう伝え、くるっと家へ向き直し玄関へ向かう。
するとーー
「……さっきやった行動は誰にでもする訳ないだろ。助手席に座らせる事もまずない。」
え、それって……
ってもう居ない……
意味深なセリフを残して彼は去ってしまった。
私はまたのど飴を舐めながら、赤面して先程の事を思い出す。
「……ハロウィン、悪くないなあ…」
どうでもいいあとがき→