第7章 七話
「…ああああんっ!はぁっ、あっ…もうおかしくなるぅ…っあああっ!あっ、ああああああっ…!」
「…ハァ…っあ、く…っハァァ…っ!」
………。
素早く後処理をして服を着る。
先生は少しぐったりとしていてそのままソファへ身体を預けていた。
「……服、着ないんですか?」
冷静になったところで部屋の外の音が気になったが、何も聞こえない。
ゆっくりと身体を起こして服を着る先生の手を何気なく見つめる。
薬指には結婚指輪がはめられている。
…………。
「…どうかした?」
「……いいえ、なにも。」
服を着終わったところで、トントンと戸をノックする音が聞こえた。先生が鍵を開けると、美樹が顔を覗かせた。
「…あっ、やっぱりここにいた。」
「……美樹。」
もう部活は終わったのだろうか。というかもうそんな時間なのか…?
「…遥人くんの靴があったから。…何話してたの?」
「…高木くんってとても成績が良いじゃない?勉強もスポーツも。そのことについて話し込んでたのよ。」
……平然と嘘をつく先生。美樹は疑わない。
「…さようなら。」
先生はふふっと笑って手を軽くふる。
俺と美樹は保健室をでた。
2人並んで帰路を歩く。
「…なんか、汗掻いてない?遥人くん。」
「………。」
まあ先程までしてたし。
「…にしても、久々だよね。一緒に帰るの。」
そういえばそうだな。というより一緒にいることが最近は少ない。
「…進路は決まった?」
「…まだ決まってない。」
高校3年な俺達は進路を決める大事な時期だ。自分のことなのに俺は興味もなくどうでもいいと寧ろ思っている。
もうすっかりと寒くなってきている時期。半数以上はもう進路が決まってるだろう。
「…美樹はどうなんだ。」
「…うーん、私も決まってないなぁ。でも大学には行くつもり。」
美樹は美術部だからそういった方向があるだろう。
俺には何もないけど。別にやりたいこともないし…。
そういえば、最近やたらと先生に進路のことで聞かれてるな。
正直めんどくさい。
「…早く決めないとなぁ。」
そう呟いた美樹はもうすっかりと日の落ちた空を見上げた。