Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第6章 友達以上恋人未満《白布 賢二郎》
【白布 side】
俺は白鳥沢に入りたくて、一般入試を受けた。学力は県内でもトップの方だし、ぶっちゃけキツかった。それでもどうしても入学したかった。それで、牛島さんにトスを上げたかった。
『えー、賢ちゃん白鳥沢行っちゃうのー!?うーん、居なくなっちゃうと寂しいし…じゃあ私もそうしよっかな』
「ハァ!?」
そんな俺にひょこひょこと付いて来たのが、幼馴染の海宙。俺が苦労していた勉強も楽々こなして、あろうことか、主席で合格しやがった。ちょっと腹立たしいけど、あいつが努力してるのは俺が一番知ってる。だから、憎めない。
そんなあいつを好きになったのは、いつだ?
中学の時には目で追ってた気がする。
何の運かは知らないが、俺たちは義務教育の間ずっと同じクラスだった。奇跡だな。
俺とあいつの距離は幼馴染み。"友達以上、恋人未満"ってヤツに似てるのかもな。
俺はずっとあいつが好きだけど、向こうはまるで気付かない。鈍感中の鈍感で、"ど"が付く天然。
昔、あいつにコクった友人にこう言われた。
「ずっと好きなんだ、って言ったら私もって返された!」
「なら良くねえ?」
「これからも"お友だち"でよろしく!て…」
まったく、コクった方が可哀想だ。
で、幼馴染みという底無し沼から抜け出せず、気持ちをズルズル抱えている。
高校に入っても、やっぱり同じクラス。俺は迷わずバレー部に入った。すると海宙はこう言った。
『バレー部?楽しそ、マネージャーやる!』
おいおい、こっちの身にもなれよ…
そう思ったけど、あいつのマネージャーとしての手腕は文句無しなので、尚更閉口した。