Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第3章 高嶺の花だとしても《岩泉 一》
そうこうしている内に、蒼井の家に着いた。割りと新しい、綺麗な外装の家。
『送ってくれてありがとう』
「おう、またな」
『うん、またね』
ひら、と手を振ってドアに近付く蒼井。その時、無意識にその腕を掴んでいた。
『えっ…?』
「え、あぁ、いや…」
ビックリしてっけど、俺もビックリしてるんだわ。いつの間にか手が出ちまった。なんだか、このまま離れるのが勿体無くて…って、付き合ってもいねぇのに何言ってんだよ!
「わ、悪い。何でもねぇ…」
『そうなの?』
「おう。じゃーな」
『はーい、また部活でね』
そう言って、蒼井は今度こそ家に入って行った。ガチャリとドアが閉まる。サーっと雨の音。そして、不意に思った。
この関係、いつまで続ける気だ、俺?
いつまでも良い友達のまま?
いつまでも部活の仲間のまま?
そんなの、ゴメンだ。
気が付いたときには足が、手が、動いてた。
閉まったばかりのドアを開く。
『え、岩泉く…』
「好きだ」
蒼井の目が、見開かれる。
時が、止まったような気が、した。