Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第12章 過去にサヨナラ《赤葦 京治》
そして迎える披露宴。光太郎さんは私よりも7つ年上(つまり京治の更に1つ上)で。それを知ったのが控え室でのこと。着替えて初めて顔を見た後だった。
ツンと逆立ったシルバーの髪、琥珀色の透き通った瞳。なるほど、シャンパンゴールド。
ガッチガチに緊張していた私だけど、彼は屈託の無い、人懐っこい笑顔で笑った。
「海宙、政略結婚?みたいでゴメンな。でも俺、お嫁さんに貰ったからには、絶対に幸せにしてやっから、な?」
『っはい、よろしくお願いいたします…!』
ペコリと頭を下げれば、セットしたての頭をわしゃわしゃと撫でられた。
式の間、退屈しないように光太郎さんはとても楽しい話をしてくれた。本当に楽しかった。そして、思った。
この人なら、大丈夫。
この人なら、ついていける。
この人の隣なら、生きていける。
私、幸せになってみせるよ。
だから京治、貴方も幸せになってね?
最初で最後のキスの後、2人きり、小指を絡めて交わした約束。
2人離れても幸せになろう―――
小さな、小さな、願い事。
私、守ってみせるよ、約束。
だから京治、貴方も守ってね?
「おーい、 海宙ー!」
『はい、光太郎さーん!』
階下で聞こえる、旦那様の声。今日は新しい企画の発表がある。それに、私も同行することになってる。
あの時から5年間、忘れたことはないわ。
12年間の想い出を胸に抱いて、
これからを生きていくよ。
京治、貴方もそうだと良いな、なんて。
ちょっぴりだけ、願い事したりして。
肩から掛けたショルダーバッグに、
白い革の手帳。
そこに挟まる、栞と想い出。
これで、私たちの話はおしまい。
下手っぴだけど、伝わるくらいには…
これで綴ることを終わろう。
私たちに、過去は要らない。
サヨナラを告げて、未来へ―――
END.