Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第1章 マイヒーロー《日向 翔陽》
~その後のお話~
今日は春高の代表決定戦。その決勝戦が行われる。準決勝で青葉城西を破った烏野は、強豪白鳥沢との対戦。
バレー部員の乗ったバスが学校に帰ってくるのを、今か今かと待ちわびている。
そして―――
『あっ、帰って来た!』
坂道を登る1台のマイクロバス。先輩が止めるのも構わず、私は玄関に向かった。美術室から飛び出して、階段を1段飛ばしに駆け降りる。
早く、会いたい
1秒でも、早く、会いたい
靴を履き替えるのすらもどかしくて、つっかけたまま走り出す。バスから降りたばかりの翔陽に、思いっきり飛び付いた。周りの視線も気にせず、肩口に顔を埋める。
『お帰りなさいっ!』
「海宙!?」
いきなりのことに、目を丸くする翔陽。びっくりしてたのは一瞬で、すぐにいつもみたいに笑った。
「おれ、勝ったよ!」
『おめでとう、翔陽!』
「海宙が応援してくれたから、だからおれ、勝てたんだ…」
ぎゅっと抱き締められると、ふわりと香るお日様の匂い。いつだって、翔陽からはお日様のふわふわの匂いがする。大好きな匂い。
翔陽は言ってた
おれが烏野を日本1にするんだって
海宙をオレンジコートに招待するって
それが今、叶ったのだ
目の前のオレンジが堪らなく愛しくなって、私は笑った。今までに無い位の、満面の笑みで。
『翔陽、大好き!』
「お、おれも大好きだッ!」
ああ、いつだって君は
私だけの特別な
ヒーローだね
END.