Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第9章 Are you ready?《黒尾 鉄朗》
【黒尾 side】
5月。5月病、とかなんとかいうくらいで、だらけだすのもこの頃。俺としても、今日の授業は退屈極まりないのでサボりたい。
半分寝たままの頭で今朝のショートホームルーム。担任が編入生がいると言っていた。
担任がそう告げた途端、ざわざわと波のようにざわめきが広がる。
「高校3年のこの時期に編入?」
「珍しいな、どんなヤツだろう?」
席の近い夜久と、そんな会話をする。俺としては美少女を希望。
「蒼井さーん、入っていいよー」
先生はドアの向こうにいるであろう"蒼井さん"を呼んだ。
『はっ、はい!』
焦ったような、そんな声。ついでガラガラとドアが開けられる。
「うっわ、美人…!」
「カワイー、目ぇ青くね?」
「ハーフなんじゃん?てか外人かも!?」
より一層ざわめきが広がる。それもそのはず、入ってきた彼女の容姿は、日本人の一般的なそれとは違っていた。
栗色の髪の毛先はくるっとカール、
ぱっちり二重に縁取られた瞳はブルー、
目鼻立ちのしっかりとした顔、
スラリとした体は8頭身。
完璧なまでの美少女は、どっからどうみても外人さんだった。
『蒼井海宙です。アメリカから引っ越してきました。日本は初めてなのでよろしくお願いします』
彼女は、とても流暢な日本語を使った。というか名前が日本人じゃねーの?もろ名字と名前だけど…
ざわざわとまた騒ぎ出したところで、担任が静かにーと声を掛けた。そして続けた。
「せっかくなんで、1限は潰して蒼井 さんの質問とかしようと思いまーす」
ラッキーなことに、1限は担任の教科。そんなわけで、質問タイムが始まった。