第10章 Festival1
「あやめちゃん?どうしたの?」
「目が真っ赤だけど?」
「自由…」
「どうしたの?何かあった?」
「うぅん。何でも無い…」
「………そっか…なぁ?」
鼻をすすり、すぐに平静を装う。
「そうだ!この前、貰った新曲すごく良かったよ。」
咄嗟に話題を変え、一月前に貰った新曲の感想を伝える。
自由の新曲『嘘と未来と』
「え?本当?」
「うん。ジャケットも素敵だし。PVも儚い感じが、すごく好き。」
「好き!?」
「うっ…うん。私、バラードって好きなんだよね。」
「あー。曲の話ね…。」
「ん?どうしたの?」
頬をほんのり染めた自由の顔を覗き込む。
「あ。そうそう。」
「6月の最初の土日のどっちかって空いてる?」
「スケジュール見ないと何とも言えないけど。」
「何で?」
「ん?」
「キラフェスやるから。あやめちゃんに来て欲しいな~って。おいでよ。」
「………都合が付けばね…。」
「あはは。つれないな~。」
「もし来てくれたら、俺頑張っちゃうんだけど?」
「自由は、いつも頑張ってるじゃない。」
フッと笑うと自由も笑う。
「やっぱりあやめちゃんは、笑った顔が可愛いよ。」
「お口がお上手ですこと。」
クスッと笑いながら自由の横を歩く。
すれ違いざまに囁かれる。
「絶対来てよ。待ってるから。」