第48章 Final
ライブの翌日、自由は結婚をブログで発表してくれた。
『相手は一般女性』
これが事務所の意向。
「名前を出せなくて、ごめん。」
抱き締め、額を私の肩に付ける。
「いいの。結婚を許してくれただけで十分。」
「自由の隣にいられるんだもん。」
「欲張ったら罰が当たるよ?」
頭を撫でられ、顔を覗き込まれた。
「それに、私は今日から『一般女性』だもの。」
クスリと笑うと自由は、顔を上げ困ったように笑う。
「結婚の発表を許してくれた事に感謝しようね。」
頬に触れれば、その手にキスをしてくれる。
「ありがとう。」
床に置いたスマホを手に取り、画面をスクロールし見せられる。
「でもさ…」
「やっぱり感づくよね。」
画面を見れば、驚く内容。
『入野自由結婚!』
『相手は一般女性』
『月島あやめは、今日から一般女性』
『入野自由、月島あやめと結婚』
「すごいね…」
「何で分かっちゃうんだろう。」
「自由…」
「コレも予想して、今日発表したんでしょう?」
ジッと見つめると視線を逸らす。
「あはは。やっぱり分かっちゃった?」
「だってさー。あやめちゃんが引退したら、発表して良いって言ってたんだもん。」
「だから今日にしたの。」
ニッコリ笑う悪戯な顔に苦笑する。
「私の旦那さまは困った人…」
「えー。そんな事言わないでよ。策士と呼んで?」
抱き付かれて床に押し倒される。
「これからもキミを守るよ。」
「そうだ。コレ。プレゼント。」
ポケットから赤いバラと淡いブルーのバラのチャームを取り出す。
「赤は俺の色でしょ?」
「淡いブルーは、昨日のライブの衣装の色。」
「今日たまたま入ったお店で見つけたんだ。」
「手に取った瞬間にコレだって思って買っちゃった。」
チャームを受け取り、キラキラと揺れるバラを見つめる。
「可愛い。ありがとう。」
「お揃いで付けたくて、俺の分も買っちゃった。」
嬉しそうに笑う顔に自然と微笑んでしまう。
「自由。ありがとう。」
「そうだ。家の鍵に付けようか?」
「うん。お揃いだね。」
そう言うと、自由はチャームを握った私の手に自分の手を添える。
「これからも宜しくお願いしますね。」
微笑み合い、私達はどちらともなく唇を寄せた。