第48章 Final
会場の関係者席には、見慣れた顔が並ぶ。
「お。自由。遅かったな?」
「タツさん。」
「いらっしゃったんですね。」
「何だよ…その言い方は…」
「俺は、このライブが決まる前にあやめのライブに行くって約束してんの。」
「は?」
「『は?』じゃねーよ!」
「コラコラ。ケンカしないの。」
視線を向ければ、中村さん。
「そんなに短気であやめを守れるの?」
「心配だな。」
フフンと得意気に笑う笑顔に心穏やかじゃない。
「もう。皆さん止めてくださいよ。」
隣にはノブ。
「周りから突き刺さるような視線を感じるよ。」
キャップを目深に被り、マスクを上げるかっきーさん。
「怖い怖い。」
肩をすくめて戯ける森久保さん。
他にも女性声優が集まり、近くの席の観客がザワザワしてる。
こんなに沢山の仲間が集まってくれるあやめちゃんの人柄に頬が緩む。
「俺の奥さんは、人気者だ。」
呟けば、俺の声が届いたせいか数人がクスクス笑ってた。