第43章 key holder
「あやめちゃん。これは?」
花のモチーフのキーホルダーを掌に乗せあやめちゃんに差し出す。
「うーん。」
「じゃあさ。どんなのが良いの?」
「うーん。」
「あはは。さっきから『うーん』ばっかりだね。」
笑うとあやめちゃんも微笑んでくれる。
「じゃあさ。今日は、無理して買わないで見つかったら買おうよ。」
「うん…」
少し不満そうな顔。
「そんな顔しないの。」
頬をつついて、笑いかける。
「さて。帰ろうか。」
何があったのかは、分からないけれど。
それでも良平さんとお揃いで付けてたキーホルダーを変えたいと言ってくれただけで十分。
一緒に買いに行こうと言ってくれたのが嬉しい。
今夜もう一度伝えよう。
握った手に力を込めた。