第42章 lighten
「何だか随分晴れ晴れしちゃって。」
悠一が半笑いで、私の顔を覗き込む。
飲みかけのコーヒーに口を付けて一口飲み込む。
「まぁね。」
「色々あったけど、少しずつでも前に進もうと思って。」
「そっか。良かった。」
「そうだ。新曲聴いたよ。」
「切ないけど、前に進もうって気持ちが凄く励みになる曲だね。」
「ありがとう。」
何だか照れくさい。
発売された新曲は、デイリーランキングで8位に入る結果を残した。
沢山の人に聴いて貰えて、そして男性だけで無く女性からの感想のメールやお手紙に嬉しくなった。
「いつかはライブとかしてみたいな。」
「その時は、観に行くよ。」
「ありがとう。」
「じゃあ、俺はそろそろ行くよ。」
テーブルの上の伝票を持ち席を立つ。
「そうだ。」
「悠一は、その後どう?」
「ん?」
「あー。進展は無いよ。」
「でも…何だか幸せそうだから、それを見てるだけでも幸せかな。」
「そっか…悠一…幸せになってね。」
「あはは。あぁ。ありがとう。」
「あやめもお幸せに。」
軽く手を上げ、席を離れる。
仕草一つ一つが様になる。
やっぱり悠一は、ステキな男性。
優しくて格好良くて。
頼りになって、尊敬出来る先輩。
これからもよろしくお願いしますね。
先輩。