第40章 piece
「なんの話なのか、もう気付いてると思うけど。」
俺は覚悟を決めて口を開いた。
「あやめは、最近発症してなかったのかな?」
「え…?」
「今日みたいなの。」
「はい。俺は初めて見ました。」
「そっか。前は…何年か前までは、気持ちが高ぶるとよくあんな風になってた…」
「まだ認められてなかった頃の話だけど。」
「………。」
「あやめからは、何も聞いてないと思うけど、俺達は二人で過ごした頃があったんだよ。」
「一緒に暮らしてた。」
「その時に二人で、自宅の鍵にあのチャームが付いたキーホルダーを付けてた。」
「自由が見たことあるって聞いたときには驚いたけど。」
ふと視線を上げて、笑ってみる。
「俺はさ。あやめと別れたこと…後悔はしていないよ。」
「俺と居たらあやめは、依存し続けてたし。」
「もしかしたら、仕事を辞めていたかもしれなかったし。」
「あのまま共に過ごしていたとしたら、二人ともダメになってたと思うんだ。」
「良平さん…」
「何言ってるんですか…」