第35章 break away
「あやめ!こっち。」
バーカウンター。
一番奥の席で軽く手を上げる。
「悠一。ごめん。待ったよね。」
「いや。さっき来たとこ。」
カウンターに置かれたビールはすでに残り三分の一の量。
結露を浮かべ、時間の経過を私に知らせる。
あはは。と笑い、スタッフさんにカクテルを注文する。
私の考えなんて全てお見通し。
スッと出されたカクテルグラスを軽く上げ、一口含む。
「ん。美味しい。」
「それは良かった。」
「さて。早速だけど、本題に入ろうか。」
「うん……。」
「あのさ。」