第29章 constellation
「良平!見て!」
「ん?」
気持ち良い風が頬を撫でる。
繋いだ手を引かれて、通り過ぎた店に引き戻される。
「可愛い。」
「ねこ…?」
「うん。シルエットのチャーム。」
「ふぅん。」
足を進めようと視線を外す。
「ピンクゴールドだよ。可愛い。」
「見て見て?」
「伸びしてるネコちゃんだよ~。」
「シッポがクルンってしてる。」
グッと再度腕を引かれる。
あやめは、チャームから目を離さない。
「………。欲しいの?」
「うん…。」
「買ってあげようか?」
「えっと…」
何か言いたげな返事。
「ん?」
「お揃いで…付けたいな…なんて。」
「えっ?」
「だってね。このネコちゃん…」
そう言って、フックに掛かったネコのチャームを一つずつ持って俺に見えるように差し出す。
「こうすれば…シッポがハートになるの。」
クルンと巻いたシッポを交差させて、ハートを作る。
「だから…」
真っ赤になって、下を向く。
「そんな赤くなってまで、言うなよ。」
「見てるこっちが恥ずかしくなる。」
右手を口元に添えて、ニヤケた口元を隠す。
プイッと顔を背けて呟く。
「分かったよ。二人で付けよう。」
横から嬉しそうな声が聞こえる。
「え!?良いの?」
顔を見なくても、どんな顔してるか分かる。
「ネコ、俺好きだし。」
さて。
キミをもっと喜ばせてみようかな。
もう一度、手を繋いであやめの手の甲にキスをする。
「二人で、家の鍵に付けようか?」
キミの溢れるような笑顔が堪らなく愛おしいよ。