第29章 constellation
あれから何度も体を重ね、俺たちは愛の言葉を囁き合う。
枕元のそれ程大きくない丸いボールの下。
暗闇でも、どこにあるか知っている場所をカチッと音を立てて押す。
部屋中に無数の小さな光が映し出される。
腕枕をしながら、天井を眺める。
「あれは?」
「はくちょう座だよ。」
「あれは?」
「わし座。」
「じゃあ、あっちは?」
「さそり座。」
「よく覚えてるね?」
「あはは。毎回聞かれてたら『分からない』なんてかっこ悪くて言えないよ。」
「あやめに教えてあげたいから、覚えたんだよ。」
何も付けていない、柔らかな肌に手を滑らせる。
「ちょっと…っ」
「ご褒美ちょうだいよ?」
「何言って…さっき、したばかりじゃない…」
そう言いながらも、太股を擦り合わせるなんて。
イヤラシイ。
「星の中であやめと一つになりたい。」
「良平っ…」
『木村さん』から『良平さん』に。
そして、今は『良平』。
愛しい人に名前を呼ばれる事がこんなに嬉しいなんて知らなかったよ。
「好きだよ。あやめ。」
甘い嬌声を聞きながら、俺は耳元で囁く。
「一緒に暮らそうか。」
キミは、瞳を潤ませながら笑顔で頷いてくれたね。