第4章 reading
和楽器の演奏を聴く。
いつもと別のスタジオで演奏に耳を傾ける。
今回は、朗読陣ではなく演奏する方々の稽古。
事務所で、偶然会った中村さんを誘って二人でお邪魔することになった。
スタジオの隅に二人並んで、演奏に耳を傾ける。
あまりの素晴らしさに息をのむ。
演奏が終わると自然と拍手をしてしまう。
それくらい素敵な演奏で、一瞬にして物語の世界に入ったようだ。
「はっ!すみません!!」
「お前な…」
隣で少し呆れるように私を嗜める。
「すみません…」
肩をすくめて、頭を下げるしかない。
雰囲気を壊して、本当に申し訳ないです…
視線でも演者の方々に謝る。
「いやいや。嬉しいですよ。」
「ありがとう。」
「観客の方もそう感じてくれると嬉しいんですけどね。」
「さて。一旦休憩にしましょうか?」
そう言って、皆さんは持ち場を離れる。
人が疎らなスタジオを歩き、ずっと気になっていた筝に近づく。
ジッと見つめる。