第22章 search
悠一の姿が見えなくなるのを確認して、私も廊下を進む。
ふと後ろから声を掛けられる。
「お相手は、入野さんだと思ってましたが…」
「中村さんだったんですね?」
驚いたような顔をして、私に問う。
「………」
「別に盗み聞きしてた訳じゃないですよ?」
「聞こえちゃったんです。」
「………」
「月島さんって、お綺麗ですしモテるんですね?」
「羨ましい。」
そう言って、私を見つめる瞳。
居心地の悪い視線から逃げるように一歩踏み出す。
「じゃあ、帰るね。また来週。」
軽く会釈をして視線を外す。
「何で答えてくれないんですか?」
「私、本気なんです!!」
「邪魔しないで下さい!」
「私、本当に岡本さんが好きなんです…。」
視界の端でポロポロと涙を流す表情を覗う。
でも、声なんてかけない。
カノジョに背を向けて、歩き出す。
目を閉じて、大きく深呼吸をした。