第22章 search
あれから何度かこの現場で過ごすようになって感じる事がある。
岡本は、あやめを見つめる。
あやめは、岡本を見つめる。
でも、二人の視線がぶつからない。
そして…
新人のあのコは、岡本にまとわりついてはあやめに近付けまいとしている。
「若いねぇ…」
「?どうしたの?」
「あやめ。」
「何だかご機嫌?」
「ははは。うん。若いって良いなって思っただけ。」
「?」
「さて。帰ろうかな。あやめは、この後は?」
「もう終わり。」
「そっか。今日は、どうする?家に来る?」
「うぅん。今日は、このまま帰る。」
「そっかそっか。最近、あやめ不足だから補充したいんだけど。」
「………近いうちに連絡しますよ。」
「待ってるよ。じゃあ。」
髪に手を触れ、クルッと指に絡める。
柔らかい髪は、スルンと落ちる。
まるで、俺の腕からすり抜けるみたい…
何でこの『恋』を選んじゃったんだろうな。
フッと笑うと、あやめの不思議そうな視線とぶつかった。