第22章 search
あれから何度かあやめさんと現場で一緒になるものの話せずにいる…。
何故なら…
「岡本さ~ん。おはようございます。」
また来た。
「はぁ…おはよう。」
「ため息つかないで下さいよ…。」
鼻をすすり、下を向く。
はぁ…困ったな。
「岡本さん?聞いてます?」
「あのさ。前も言ったけど…あんまり話し掛けないで欲しいかな。」
「何でですか…少し前までは、手だって繋いでくれたじゃないですか…」
シュンとした顔で見上げ、僕の腕を掴み離さない。
「あんまり女のコにキツいこと言いたくは無いんだけど…。あのね?」
何でこのコにあんなに好意を持っていたのか…
恋は盲目。
「あれー?修羅場?」
声のする方を振り返る。
「中村さん…」
「現場では、あんまりしない方が良いと思うよ?」
「違いますって。このコとは何とも…」
視線を落とし、床を見つめる。
「まぁ、何でも良いけど早く行ったら?」
「そろそろ時間じゃない?」
腕時計の文字盤をトントンと叩く。
「わっ!いけない!岡本さん!行きましょう!」
「先に行って…。」
「はぁ…」
中村さんのため息が聞こえた。