第20章 threat
「元気ないね。」
あやめちゃんを助手席に乗せて、車を走らせる。
「………。」
「ふぅ…困ったな。」
「心ここにあらず(笑)」
あやめちゃんの顔の前でパチンと指を鳴らして、意識をたぐり寄せる。
「そうだ。ダッシュボード開けてくれる?」
「え?」
「早く!信号変わっちゃうよ。」
あたふたしながら、ダッシュボードを開けて中から箱を取り出す。
「何?これ?」
「贈り物だよ。開けてみて?」
「これ…」
「ガーネットのネックレス。キラフェスで、ガーネットのピアスしてくれたんでしょう?」
「何でそれ?会ってないのに。」
「神谷さんに聞いたんだ。小野さん情報って言ってたけど。」
「ルビーなら、すぐ見つかったんだけどガーネットはなかなか見つからなくて。」
「遅くなっちゃった。ごめんね。」
「誕生日でも何でもないけど…」
「最近頑張ってるんでしょ?ボイトレとかジムとか。」
「ご褒美だよ♪」
ポンポンっと頭を撫でると同時に信号が変わった。
「続きは家でね。」
「余計な事なんて考えられなくしてあげる。」