第19章 stole
案内された薄暗い半個室の席で、ソフトドリンクを軽く掲げて乾杯をする。
「お疲れ~。」
「最近暑いせいか食欲が…ね。」
「タツは?」
「うーん。程よく食べてるよ。」
「会ったときに思ったんだけど。お前さ…乳デカくなったよな?」
「はぁ!?」
「ここにも変態が…あ。タツは元々変態だったんだ。」
「おいおい…何だよそれ。」
目をスッと細めて少し不服そうな表情に、私は笑う。
「まぁ、その相手に感謝だな。」
そう言って首元を指差す。
「あやめにも彼氏が出来たのか~。」
「彼氏……」
その言葉に気持ちが沈む…。
「ん?違うのか?」
「んー。タツなら良いか…。」
私は、大きく息を吸い込み覚悟を決める。
「彼氏じゃないよ。」
「はぁ!?」
「その人には他に好きな人居るし。」
「お前は、そいつのこと好きなの?」
「んー。分かんない。」
「それにその人とそうなった時には、私にも好きな人居たし。」
「じゃあ、あやめはそいつが好きなの?」
「んーー。どうだろう。」
「その人には、別に好きな人居るし。」
「多分、そちらは両思い。」
「複雑だな…」
「そう。複雑なの。」
苦笑しながら、ポテトに手を伸ばす。
「ん。美味しい。」