第7章 童話のような
カ「……ずっと探していた。」
「…え?」
胸から口を遠ざけ、私の顔を両手で包み込み、
すぐ正面にカラ松くんの顔があった。
カ「…欲しかった…いつも部屋から見える、自由の女神が。だから…」
カラ松くんの目には涙が浮かんでいた。
ようやく、彼が溜め込んでいたものが私には理解できた。
「まさか…カラ松くんが、あの時の…?」
カ「そうだ。城から逃げ出して、お前を手に入れるにはああしなければならなかった…だか、それはお前の人生を狂わせるものだと後に気づいた。」
あぁ…そうか。
彼はわざと城を出た。
そして、きっと この城の掟を知っていたのだ。
そうすれば私は牧民から、奴隷へとなる。
彼の台本は完璧だったということだろう…
私が悲しむこと以外は。
カ「過去には戻れない。が、同じ過ちは繰り返さない。」
「…っひっく…う…ぁあ…」
カ「泣かないでくれ。これからはオレが幸せにする。
〇〇…俺とともに笑い、そして未来を歩もう。」
どうすればいいのかわからなかった。
カラ松くんが、私の両親を殺したも同然…?
だけど彼は私と結ばれたかった…?
わけがわからない。
私は過呼吸になってしまった。
カ「おい?〇〇?……っ…りしろ!……いっ!」
遠のく童話の王子様の声……
しかし私は自分の過去に負けてしまったらしい。
また、目の前が暗くなっていった。