第4章 男の娘な彼
「ちょっちょっとプリンセス!!」
「えっ」
声の方向を振り向くと、
可愛らしい女の子が走ってきて
バッと私の後ろに隠れた。
「えっえっ!?」
「いいから!このままでいろよ!」
(な、何!?)
すると廊下の向こうから
「モモッモモーッ!!」
「…カイン?」
カインがモモを探す声が聞こえてきた。
その声が大きくなったと思ったら
曲がり角からカインが顔を出す。
「おいっモモっ。モモ知らねぇか?」
言っておいてカインが赤くなる。
「ぷっ…何それ?」
思わず笑ってしまった。
「う、うるせぇ!見つけたら教えろよな!」
そう言ってモモの名前を
呼びながら去っていった。
「……ふぅー。」
後ろにいた女の子が出てきた。
「ったく、ひでーんだぜアイツ。」
「えっ?」
「栄養あるからってマッズイメシ
食わせようとすんだぜ。」
「………。」
「聞いてるか!?プリンセス!!」
「えっあっ、あ、うん…。
あ、あの女の子よね?」
そう、
その子は長くてフワフワの茶髪に、
明るい色調の、
いわゆるゴスロリの格好をしていた。
(確か、こういうのにもいろいろ
種類があるんだよね…
こういうのは何ていうんだっけ…)
そんなことを考えていると、
その子はワンピースの襟首をグッと広げ、
私にその中を見せてきた。
「えっ!!」
ペタンコの胸があった。
「へへっアイツの目を誤魔化すために
こーゆー格好してんだよ。」
「男の子だったんだね…。
…あっねっねぇ!アイツって…」
そのとき私の後ろから声がした。