第2章 名前呼び
「佐々木さん見て見て〜」
「んー?」
「ほら!」
ニコニコしながら見せてきたのは私達の高校の卒業アルバム。
小柴さんとは高校で知り合って、付き合って、それがずっと続いてる。
今の年齢は秘密←
懐かしいなぁ。って言い合いながらパラパラとページをめくっていくと、クラスの集合写真に目が止まった。
「あ、大田くんだ、これ、目が閉じたからもう一回撮ってください!って、写真屋さんにお願いしてたよね〜」
私が一人を指差してそう言うと、今度は小柴さんが一人を指差す。
「春香だ、この前偶然会ったよ〜」
「えっ、そうなの?元気だった?」
「うん、元気元気〜、結婚して、子供二人いるってさ」
へぇ。あの春香が…。
春香は結構引っ込み思案だから、ちょっと心配してたんだけど…。くぅ。先を越されたか←
「あとね」
「?」
口を開いたあと、ハッとしたようにすぐ閉じる。
なんだろう。言い難いことなのかな…?
「あのー…さ、春香に、いつ結婚するのって聞かれた」
「わぁ」
「わぁって何さw」
いやだって、今まさに考えてたから。
なんだろうね。一緒が当たり前すぎてタイミングがなかったというかね。
「でさ」
また小柴さんが口を開く。